脱バイエル!?:幼児のためのピアノテキスト何使う?

幼児の導入期のピアノテキストは何を使うか?
大いに悩むモンダイだと思います。

私のこどもの頃は、皆一様に「バイエル」を使っていました。
それ以外に選択肢があまりなかったというのが、その理由のようです。
(一部の教室では「メトードローズ」を使っていたそうです。)

近年は、多種多様な幼児用ピアノテキストが出版されていますので、かえって、どれを選ぶか迷ってしまうのも正直なところです。


音っておもしろいな!と感じるレッスンを

私は、最初の3ヶ月くらいは、ピアノを弾くためのテキストは使用していません。

音に親しむ!:導入期の音楽レッスン」のページに書いたように、まずは自由にピアノの鍵盤を触ってもらい、いろいろな音が出ておもしろいな、と感じてもらうことからスタートしています。

また、私が弾く曲や即興的なフレーズに合わせて、教室内を歩いたり、走ったり、突然止まったりなどのリトミックを取り入れたレッスンも行っています。

子守唄のような音楽に合わせて「おやすみなさ〜い」と言って、床にゴロ〜ンとしばらく寝ている時、突然、高音域で「バーン」とクラスターを鳴らします。すると、どのこどももびっくりして起き上がります。

中には、残念ながら無反応というか、、、そのような音に対して何も感じないこどももいますが、そのような場合は、「こんな音が聞こえたら、目を覚まして起き上がってね」と言うと、今度は、寝ころびながらよーく耳を澄ますようになります

このようなことをして、まずは、「音」に親しむことから始めていますが、やはり、何を学んでいるかの足跡を残すためにもテキストは必要になってきますので、「音に親しむ!幼児の導入期の音楽レッスン」でも紹介した「リズムワークブック」(江口寿子著、共同音楽出版社)を使用して、リズムや音価を「あそびながら」体得するレッスンを取り入れています。

歌いながら音を楽しむレッスン

そして、生徒さんの年齢やレッスンの進み具合にもよりますが、3ヶ月〜半年ぐらい経ってから、ピアノを弾くためのテキストとして、「うたとピアノの絵本①みぎて」(呉 暁著、音楽之友社)を使用しています。



このテキストのはじめの数曲は、たった2小節からなっています。

例えば、第1番は「みんな あそぼ(ドレミ、ドレミ)」

これだけです。

第2番は、「なべなべ そこぬけ(レドレド レレレ)」

です。

はじめは、ド・レ・ミの3音のみによる曲が続きますが、少しずつ音域が広がっていき、テキストの半ばになると、ド〜ソまでを弾くようになります。

ピアノの導入テキストの多くは、「ド」のみを「ドドド」などと弾くことから始めるものが多いのですが、このテキストは、1曲目から「ドレミ」というフレーズが登場します。最初から「歌う」ことを目標にした、まさにこのテキストのタイトルを体現したものと言えます。

しかしながら、幼稚園・保育園年少ぐらいの生徒さんにとっては、「ドレミ」と弾くのはたいへんなことです。身体も手も小さく、骨格も未発達の幼児にとって、ピアノはとてつもなく大きく、鍵盤もかなり重く感じるはずです。指の1本1本がきれいに鍵盤に乗らないこどもがほとんどです。

ですので、導入レッスンでは無理に弾かせようとせず、一緒に歌ったり、歌に合わせて手を叩いたりしています。

また、例えば、第1番「みんな あそぼ」では、歌い終わった後、「何して遊ぶ?」と質問すると、「かくれんぼ」や「おにごっこ」など、いろいろな答えが出てきますので、その答えを「かくれんぼ(タタタタタン)」と手でリズム打ちしたり、鍵盤の好きな音を、1本指☝️、2本指✌️、手のひら🙌、グー✊など、好きな方法で「かくれんぼ(タタタタタン)」と弾いたりします。いえ、「鳴らす」と言った方が適切な表現でしょう。

また、第3番の「ぶーぶー ぶたさん」では、「ぶーぶー」のところだけ、ピアノで好きなように音を出してみます。グーで弾いたり、2つの鼻の穴をイメージして2本指(チョキ)で黒鍵を弾いたり、両手で、低い音で、高い音で、、、、などなど、いろいろな「ぶーぶー」が生まれます。ちなみに、こどもたちは皆、この曲が大好きです。

このように、そのこどもの年齢や発達具合に合わせて、いろいろ工夫しながらこのテキストを使っています。最初からピアノを弾くことを教えようとするのではなく、まずは、「音」を楽しむレッスンになるよう心がけています。

この「うたとピアノの絵本①みぎて」は、可愛らしいイラスト付きで、音符も手書き風に大きく書かれているので、幼児のピアノの導入テキストとして、たいへん重宝しています。

大譜表で両手を弾くレッスン

「うたとピアノの絵本①みぎて」を終えると、同シリーズの「うたとピアノの絵本③りょうて」に進む生徒さんもいれば、「ピアノランド①」(樹原涼子著、音楽之友社)に進む生徒さんもいます。どちらも大譜表(上段がト音記号、下段がヘ音記号)で書かれた曲でレッスンするようになっています。

「うたとピアノの絵本」シリーズには「②ひだりて」もあるのですが、残念ながら省略して「③りょうて」に進んでいます。

その理由は、「②ひだりて」では、低音部(ヘ音記号)譜表による1段譜で書かれていますので、高音部譜表と混乱する場合が多いからです。ヘ音記号の音符は、ト音記号と一緒に記譜される大譜表で学習した方が、音の高低のイメージがつきやすいとの判断からです。

「うたとピアノの絵本③りょうて」の方が、「ピアノランド①」より若干難しいので、幼稚園・保育園年少〜年中の生徒さんの場合は、「うたとピアノの絵本①みぎて」を終えると、「ピアノランド①」へ進むケースが多いです。

ところで、「ピアノランド①」も、とても可愛らしいイラスト付きであること、どの曲にも楽しい歌がついていること、さらに1曲1曲に素敵な伴奏も付いていることなどの点で、幼児のピアノの導入書として相応しいテキストだと思います。

どの曲にも楽しい歌と伴奏がついているので、歌いながら弾くことによって、フレーズ感、ブレス、アーティキュレーション、そして和声感などを体得・体感することができます。

第1番の「どどどどどーなつ」は、文字通り、ドの音のみを弾く曲なので、「うたとピアノの絵本①みぎて」で、ド〜ソの音まで学習した生徒さんにとっては、逆戻りした感がありますが、今度は両手で弾くというチャレンジがあることを強調し、モチベーションを高めるようにしています。

もちろん、せっかく覚えたレ〜ソの音のことを忘れないように、知っている曲「ちょうちょ」「チューリップ」などの曲も時折挟みながらレッスンします。

このようにして、幼児のピアノのレッスンの導入期では、「音楽の基本は歌うこと」をモットーに、いろいろと試行錯誤を重ねています。そして、ピアノを「弾かせる」のではなく、ピアノと「仲良くなる」「友達になる」というスタンスでレッスンしています。


以上で紹介したテキストは、「バイエル」またはそれに準じるテキストで指導していらっしゃる指導者の方にとっては、全く方向性が異なるので、使いづらいかもしれません。

私も長年「バイエル」をピアノの導入書として使っていたので、「うたとピアノの絵本」シリーズや、「ピアノランド」シリーズに移行する際には戸惑いもありました。しかし、

・導入期から大譜表でレッスンすべき
・歌を取り入れたレッスンをしたい
・発想や想像力を伸ばすレッスンをしたい

と常々思っていましたので、これらのテキストに出会ってからは、自分なりに工夫を重ね、現在に至っています。

とはいえ、まだまだ発展途上。様々なことを取り入れて、充実した幼児期のレッスンとなるよう努めたいと思っています。

関連記事


コメント

人気の投稿